コロナ禍でホテルの需要が減少し、ホテル経営に苦しむオーナーやオペレーターが増えています。一方で、ホテル暮らしやテレワークに利用する人も増えており、ホテル賃貸借契約という選択肢が注目されています。ホテル賃貸借契約とは、オーナーからホテルの一棟や一部を借りて、賃料を支払う契約形態です 。この記事では、ホテル賃貸借契約のメリットと注意点を解説します。
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メリット①:オーナーは安定した収入が得られる
ホテル賃貸借契約の最大のメリットは、オーナーにとって安定した収入が得られることです。ホテル経営は市場の変動に左右されやすく、コロナ禍のような不測の事態に対応するのは困難です。しかし、ホテル賃貸借契約では、オペレーターが事業リスクを負担し、オーナーは不動産リスクや賃料変動リスクを負担します。つまり、オーナーは事業収益に関係なく、契約した賃料を受け取ることができます。また、借地借家法に基づく定期建物賃貸借契約であれば、賃料を保全し、更新を拒絶される心配もありません。
メリット②:オペレーターは事業展開の幅が広がる
ホテル賃貸借契約のもう一つのメリットは、オペレーターにとって事業展開の幅が広がることです。ホテル経営には多額の初期投資や維持管理費がかかりますが、ホテル賃貸借契約では、オーナーから既存のホテルを借りるだけで済みます。これにより、オペレーターは自己資本や融資を必要とせずに、新規出店やブランド展開を行うことができます。また、ホテル暮らしやテレワークなどの新たな需要に応えるために、サービスや設備を柔軟に変更することも可能です。
注意点①:賃料改定に関する協議が必要
ホテル賃貸借契約にはメリットがありますが、注意点もあります。その一つは、賃料改定に関する協議が必要であることです。コロナ禍では、オペレーターは事業収益が激減し、固定賃料を支払うことが困難になる場合があります。そのため、オーナーとオペレーターは互いの立場を理解し合い、将来収支予測やリスク分担などを考慮して、適正な賃料水準を協議する必要があります 。例えば、「ステップアップ型固定賃料」や「ハイブリッド型賃料」などの柔軟な賃料条件を採用することも一つの方法です。
注意点②:運営管理や修繕積立金に関する明確な規定が必要
もう一つの注意点は、運営管理や修繕積立金に関する明確な規定が必要であることです。ホテル賃貸借契約では、オーナーは不動産所有者としての役割を果たし、オペレーターは事業者としての役割を果たします。しかし、両者の役割分担や責任範囲が曖昧だとトラブルの原因になります。例えば、「歩合型賃料」の場合、オペレーターが経費を調整して賃料をコントロールしないようにするために、「収支報告書」や「第三者による収支確認」などの仕組みを導入する必要があります。また、「修繕積立金」や「バリューアップ投資」などの建物及び設備に関する費用分担も明確に定める必要があります。
まとめ
ホテル賃貸借契約は、コロナ禍で見直されるべき契約形態です。オーナーは安定した収入を得られるメリットがありますし、オペレーターは事業展開の幅が広がるメリットがあります。しかし、注意点もあります。特に、「賃料改定」や「運営管理・修繕積立金」に関する協議や規定は重要です。両者は互いの立場を尊重し合い、サステナブルな関係を築くことができれば、ホテル業界全体の発展にも寄与するでしょう。
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